できちゃった境界線/Boundary line you’ve made
Installation directed by Fujimoto Takayuki / 2015
OVERVIEW
街中の公衆トイレを使って現代美術を展示するという展覧会「おおいたトイレンナーレ」の依頼を受けて制作された作品。
展示場所として選んだのは、大分コンパルホールという市の複合施設3階の男子トイレで、展示期間中はトイレとしての使用を止めて、誰もがその中に入って作品を体験する仕様とした。
公衆トイレや浴場、温泉施設などは、性別による入場制限があり、そのような境界線は当然のように社会に張り巡らせれている。それ自体の是非はともかく、自分がその中に入る資格を持たない、もしくは持っていないと思い込むことで、不可視となっている場所は、案外とあらゆるところに広がっている。
見えているのに見えない、あるいは、はっきりとした境界線を意識していたのに、近づくほどにその境界が曖昧になっていく、そのような体験は誰にでもあるのではないか?
会場のコンパルホールの男子トイレには、滅多に見ないほど多数の小便器が整然と並んでいて、それだけでも見ようによってはなんらかのアート作品に見えなくもない。
その中で、本作のために作られた今井健太郎 (山/完全版)の音と同期して、LED照明の光が絶え間なく変化していく作品。
そして、2017年には同じく今井健太郎 (山/完全版)が新たに作曲した『Boundary line you’ve made DANCE TUNE』を使い、ニュイ ブランシェのイベントの一環としてアンスティチュ・フランセ関西 京都にて、テーブルを使った別バージョンの展示も行っている。
PRODUCTION NOTE
できちゃった境界線/Boundary line you’ve made
赤い色が隠れている
間違いなく自分のモノなのに
私は己(おのれ)の心臓を見たことがない
骨の形を知らない、肉の色もわからない
いくつものボーダーを越える
違う宗教、違う文字、一夫多妻、同性婚、島国、砂漠の領土
山の稜線、河が境目、真っ直ぐに引かれた境界線
私のパスポートはどこにでも行ける
たまたま生まれ落ちた場所のおかげ
赤を見る
生き物の中には、赤が溢れている
普段は隠れていて、あるとき急に噴き出してくる
光線には色はついていない
白、白は何色でできている
赤と緑と青、色はどこにある?
胃袋が動く、大腸が蠢く、肺が膨らんで、脳が発火する
心臓は休まない
心はどこにある?
虹を見る
赤、橙、黄、緑、青、藍、紫
虹は7色(なないろ)
その間は何色?
ドレミファソラシとニュートンが歌う
食べられない肉、入れない場所
読めない本、使えない言葉
見せない毛髪、唄えない歌
見えない色、見ない色
できちゃった境界線
PRODUCTION CREDIT
監督・設計 | 藤本 隆行 (KInsei R&D) |
音楽 | 今井健太郎 (山/完全版) |
ヴォイス | 上村絵梨子 |
Julie Pereira | |
福田悠歩 | |
森裕子 | |
主催 | おおいたトイレンナーレ |
技術協力 | カラーキネティクス・ジャパン株式会社 |
有限会社タマテックラボ | |
STAGE CREW NETWORK |
PRODUCTION SCHEDULE
トイレンナーレ
2015年 | 7/18 – 9/23 | 10:15-17:45 | 大分コンパルホール |
3階男子トイレ | |||
Admission free |
DANCE TUNE
2017年 | 10/6 | 19:30-24:00 | アンスティチュ・フランセ |
関西 京都 3階 サロン | |||
Admission free |