Kinsei R&D | Fujimoto Takayuki Works

Node – 砂漠の老人

Performance directed by Fujimoto Takayuki / 2011 - 2013

OVERVIEW

東日本大震災による福島原子力発電所の爆発事故と、それに続く日本政府を含めた核発電所を取り巻く状況に驚きと後悔を感じて、改めて情報や知識、知恵という概念を捉えようと試みた作品。

コラボレーターとして振付に白井剛 (AbsT)を、中心となる砂漠の老人には吉本大輔 (舞踏-天空揺籃)を迎え、音楽はヴァイオリニストの辺見康孝が舞台上で演奏を続け、パフォーマーの川口隆夫・平井優子・カズマ グレンと共に、幾人ものプログラマーが映像・音響ともに関わり、舞台を作り上げている。

あいちトリエンナーレ2013 参加作品


PRODUCTION NOTE

地球上の生命体は、4値の組合せによるデータで構成された「情報」によって成り立っている。遺伝子(DNA) を構成する塩基、アデニン(A) 、グアニン(G) 、チミン(T) 、シトシン(C) の4種類からなるデータによって書かれた情報が、全ての生命体の元になる。
では、知識や知恵はどこにあるのか?それらは、大脳皮質の発達したヒトのみが手に入れたものなのだろうか?
植物の枝葉を見てみる。何ということもない庭木の枝だが、その枝は光を多く受けられるよう、斜めに垂直にと方向を変え、その度に葉も大きさや向きを変化させながら成長している。この枝葉の構成要素も、ヒトと同じ4塩基(ATGC)だが、そこには脳という司令塔はない。それでもこの枝葉は、果てしない無駄とも言える捨拾選択の上に、進化の知恵とも呼べる様相を呈している。
生命体の存在意義が、自己の属する種を生き延びさせる事、つまり自分達の遺伝子をできるだけ先の未来まで存続させる事であるとするのなら、私たちが今日直面している多くの問題に目を向けると、ヒトの知恵は生物としては異常を来していると言っても過言ではない。
日本では、3.11 とその後の原発事故をきっかけに、原発に関する情報隠蔽・操作の事実が次々と噴出している。子孫に負の遺産を残す原発ですら、一部の有識者による誘導と概念操作の積み重ねにより容認され続けてきた。高度で難解な情報の組合せや、専門「知識」への盲従による、思考の放棄。そして、偶発的な経験によりその隠されていた事実と向き合った時には、既に引き返すことができない、個人の一生では解決し得ない問題の中にどっぷりと浸かっていることもある。
老人の住む世界は、そのような結末を迎えた破局の後の砂漠なのかもしれない


PRODUCTION CREDIT

監督・照明藤本隆行 (Kinsei R&D)
振付白井剛 (AbsT)
出演:
 砂漠の老人 –吉本大輔 (舞踏-天空揺籃)
 幸せ大使 –川口隆夫
 未来の子供 –平井優子
 兵士 –カズマ グレン
 過去の少年 –白井剛
 音楽家 –辺見康孝
舞台装置川口隆夫、藤本隆行
音楽辺見康孝
メディアオーサリング古舘健
映像プログラミング神田竜、大西義人
音響プログラミング松本昭彦、古舘健
音響・映像オペレート上條慎太郎(TMUG/+MUS)
ディバイスデザイン・プログラミング稲福孝信
ディバイス製作森浩一郎
映像製作飯名尚人、田中英行
衣装北村教子
テクニカルチームコーディネート齋藤あきこ
舞台監督尾崎聡、粟津一郎
制作進行土屋彩子 (Hiwood)
プロデューサー高樹光一郎 (Hiwood)
  
主催一社) Kinsei R&D
提携KAAT 神奈川芸術劇場
あいちトリエンナーレ2013
大野一雄フェスティバル
LIG Arts Foundation
BankART Studio NYK
技術協力カラーキネティクス・ジャパン株式会社
有限会社タマテックラボ
協力Alfred Birnbaum、高橋裕行

PRODUCTION SCHEDULE

作品バージョン会場
201110Node Trial ver.α大野一雄フェスティバル
Hammer-Head Studio、横浜
201212Node Trial ver.β大野一雄フェスティバル
BankART Studio NYK、横浜
2013 3Node Trial ver.γLIG ART HALL
ソウル、韓国
5Node Creation ver.1KAAT 神奈川芸術劇場
横浜
8Node Theater ver.1あいちトリエンナーレ 2013
愛知県芸術劇場、名古屋
9Node Tour ver.1Orlean lai project
香港文化中心、香港

MOVIES

Node/The Old Man of the Desert_砂漠の老人_digest_5min (2013)