true/本当のこと
Performance directed by Fujimoto Takayuki / 2007 - 2012
OVERVIEW
a new sound, light and dance performance「true/本当のこと」は、二人のパフォーマーによって展開される、「脳」と「現実」の関係を探る舞台作品です。
このパフォーマンスは、藤本隆行 (Kinsei R&D/Dumb Type) のディレクションのもと、白井剛 (AbsT/baneto) や川口隆夫 (Dumb Type) 、真鍋大度(rhizomatiks) など、様々なフィールドから参加した10人のアーティストの協同作業により、2007年の夏に日本国内で制作発表されました。滞在制作並びに世界初演の会場となった山口情報芸術センター Studio Bでは、約一ヶ月にわたり公演本番と同じ機材と装置が組まれ、そこで様々な実験を繰り返す事によって、作品が作り上げられていきました。
またこの作品は、文化庁と日本国内の公共アートセンター/劇場3館 (山口情報芸術センター・金沢21世紀美術館・横浜赤レンガ倉庫) とアーティストの共同制作という、日本ではまだ珍しい方式で制作が進められました。そしてその後、11カ国19都市で公演しています。
作品の舞台は、振動体である建設用足場と、天井に吊られた直径8mのLED照明用円形トラス、コンピューターでリアルタイムに生成される映像と、一台のテーブルで構成されます。
テーブルの外見は簡素な木製ですが、実は内部にいくつもの装置を組み込んだ舞台のメインシステムで、机上には写真や地球儀、グラスなどが雑然と置かれ、パフォーマーはそれらと、そしてテーブル自体とも密接に絡んでいきます。
LED照明は、その色変化の自在さとデジタル制御による高速同期で今までにない光の表現を実現し、足場には振動子がセットされ、音や動きとリンクしつつ物それ自体が揺れ、音に実感する質量を与えます。そして、映像も含めたそれらの要素は、二人のパフォーマーの動きと筋電センサーを介して同期し、現在の技術だからこそ可能な解像度で働くのです。
つまり、これまでとはケタ違いの精度で、音と光に包まれた劇場空間そのものが、パフォーマーの身体の延長として明滅と収縮を繰り返し、観客の身体感覚にまで影響を及ぼしていきます。
PRODUCTION NOTE
世界と向きあうために –
私たちは、世界の中に無限の色彩を見ているように思うが、実はそれはたった3つの光の波長の組み合わせを、脳が感知しているに過ぎない。そこからどれだけのバリエーションを生み出せるかは入ってくる刺激に対する脳の能力にかかっている。しかしそれは色が存在しない錯覚であり、単にそれをヒトが「現実 (リアル) 」だと思い込んでいる、というわけではない。実は「現実」自体が脳の作り出したそれらの感覚の積み重ねなのだ。
それらは決して偽りではなく、世界はそのように創られている。そして、その「現実」の構造を理解することがで重要ある。
現在においては、情報・交通手段の発達で、多くの人にとって世界は狭くなったのかも知れないが、「現実」は、例えばあるヒトにとっては堅くって爪も立てられないようなものに、また別のヒトにとってはフワフワと正体不明で、分け入っても分け入っても何も見えないようなものになってしまった。国際情勢も日本の社会システムも、身近な自分の環境も少し先の未来も、何もかもが自分の力ではどうにも変えられないというような諦め・・・この世界と自分が切り離されたような感じ。でも本当のことを言うと、ヒトが世界を捉える為のもっとも基本的な行為である、「視る」ことや「聴く」ことでさえ、 自分の外側の物事を、ただそのまま頭の中に、鏡のように映しているわけではない。
あなたは、この一瞬に立ち現れる事象を、あなた自身の頭の中で選り分けて加工・再構成し、常に新しいあなたの世界を見聞きしているのだ。私たちが、既にそこにあると思い込んでいる、動かせない「現実」の多くは、実は自分自身の中で日々生み出され更新されている。そう、何の制限もなくただ受け入れていると思っているそれらの多くが、あなたが今まで生きて作り出してきた様々なフィルターにより、加工精製されたものなのだ。実は、自然の創意は、私たちの脳の中にある。
もちろんそれは、事実のある一面でしかない、でも、自分自身が「現実」をそのように確信できれば、閉塞的で太刀打ちできないと思っていたこの世界との関係性を、もう一度見直す事が出来るかもしれない。
基本的に「虚構/お芝居」である事が前提の舞台上で展開される、「true/本当のこと」というパフォーマンスは、何が嘘で何が真実かという話ではありません。知らぬ間に自分も捕らえられているかも知れない閉塞感を振り切って走り出すために、「現実」のどれほど多くの部分が、あなた自身によって作り出されているのかを、改めて問い直すためのものです。
Scene title:
01. | Introduction | 挨拶 |
02. | Science | 理科 |
03. | Music | 音楽 |
04. | Physical education | 体育 |
05. | Verbal skills | 国語 |
06. | Social studies | 社会 |
07. | Drafting | 図工 |
08. | Maths | 算数 |
09. | Survival | 生き残り方 |
Total duration 70 minutes |
PRODUCTION CREDIT
監督・照明 | 藤本隆行 (Kinsei R&D/Dumb Type) |
振付・出演 | 白井剛 (AbsT/発条ト) |
振付・出演・ | 川口隆夫 (Dumb Type) |
テクスト | |
音楽・振動・ | 真鍋大度 (rhizomatiks) |
プログラミング | |
音楽・映像・ | 南琢也 (softpad) |
ビジュアルデザイン | |
映像・Web・ | 堀井哲史 (rhizomatiks) |
プログラミング | |
機構設計 | 齋藤精一・石橋素 (rhizomatiks) |
筋電センサー・ | 照岡正樹 (VPP) |
振動系サポート | |
衣装 | 北村教子 |
舞台監督 | 尾崎聡 (Dumb Type)・夏目雅也 |
大鹿展明・岩田拓朗 (YCAM) | |
制作進行 | 高樹光一郎 (Hiwood) |
技術協力 | YCAM InterLab |
有限会社タマテックラボ | |
カラーキネティクス・ジャパン株式会社 | |
rhizomatiks・DGN | |
企画製作 | 山口情報芸術センター |
金沢21世紀美術館 | |
横浜赤レンガ倉庫1号館 | |
Hiwood・ダムタイプオフィス | |
協力 | Alfred Birnbaum、太田奈緒美、 |
Jonathan M. Hall | |
ピアノ演奏:小山京子、富樫春生 | |
助成 | 文化庁 |
PRODUCTION SCHEDULE
年 | 月 | 会場 | 都市 | 国 |
---|---|---|---|---|
2007 | 9 | 山口情報芸術センター | 山口 | JPN |
YCAM StudioB | ||||
12 | 金沢21世紀美術館, Theater 21 | 金沢 | JPN | |
12 | 横浜赤レンガ倉庫1号館 | 横浜 | JPN | |
2008 | 7 | Esplanade, Theatre Studio | シンガポール | SGP |
11 | Japan Society | New York | USA | |
2009 | 8 | 世田谷パブリックシアター, | 東京 | JPN |
シアタートラム | ||||
9 | Stadsschouwburg Amsterdam (SSBA) | Amsterdam | NLD | |
9 | Parktheater Eindhoven | Eindhoven | NLD | |
10 | Tanzhaus NRW Dusseldorf | Dusseldorf | DEU | |
10 | Maison de la culture du JAPON a Paris | Paris | FRA | |
11 | Festival Panorama de Danca 2009, | Rio de Janeiro | BRA | |
Teatro Tom Jobim | ||||
11 | SESC Pinheiros, | Sao Paulo | BRA | |
Teatro Peaulo Autran | ||||
2010 | 6 | Macao Cultural Centre, | マカオ | MAC |
Small Auditorium | ||||
6 | Hong Kong Cultural Centre, | 香港 | HKG | |
Studio Theatre | ||||
9 | TransART 2010, | Bolzano | ITA | |
EX-Alumix di Bolzano | ||||
2011 | 1 | Usine C | Montreal | CAN |
2 | Mois-Multi, | Quebec | CAN | |
Cooperative Meduse | ||||
3 | アイホール, | 伊丹 | JPN | |
AI-HALL Dance Creation vol.64 | ||||
2012 | 3 | LIG Art Hall | Busan | KOR |